FIREの「4%ルール」はアメリカで株式50%,債権50%の資産を持っている前提で計算されたものです。
日本に暮らす場合は前提が異なるため、私が実際に購入しているインデクスファンドの指数の過去データから、所有株式金額の何%を使えるのかを算出しました。
結論は、安全サイドに倒しても「所有株式金額の4%を生活費に使っても資産が減らない」ことは日本でも成り立ちそうです。
計算結果としては4%~7.2%を生活費に使っても大丈夫そうとなり、安全係数をどれだけかけるのか個々人の設定で%は変わってきます。
※全資産額ではなく所有株式金額に対しての%のため、生活防衛資金として現金を別途確保する必要はあります。
FIREに向けた懸念
FIRE(経済的自由を手に入れ、嫌な仕事を早く辞める)に踏み切れるかの懸念を『FIREへの心理的障壁と突破ステップ』の記事で書いていて、下記3点がありました。
- 家族、友人、同僚からの反対
- 収入が株式投資のリターンだけになる心配
- 4%ルールを理屈は分かっても実感できていない
1点目に関しては、自身の望む人生を送るために価値観の合わない人たちとはなるべく関わらないようにしていくことで対処します。
2点目に関しては、投資以外からも少額でいいので安定して稼げるようにすることを目指していますが、FIRE後の宿題事項として残っています。
3点目の「4%ルール」に関して本記事で考察をしていきます。
4%ルールの考え方・前提条件を抽出
米国トリニティ大学が発表したトリニティスタディが通称「4%ルール」です。
下記引用元のブログでの解説が分かりやすかったのですが、トリニティスタディの結論はザックリと以下です。
株式50%債券50%の資産をつくり年4%ずつ取り崩しても、30年後に資産が残っている可能性は100%
引用元:https://yuruchange.com/4percent210103/
FIREして資産の取り崩しを始めた瞬間に株価の暴落が起こると資産が一気に減り生存確率が下がる危険があります。
そこで投資資産とは別に、数年間分の生活費(=生活防衛資金)を現金で持っておき株価暴落に備えておくのが無難です。
ちなみに私は、慎重派なので5年分の生活費を生活防衛資金として確保しています。
アメリがでFIREした人が『FIRE 最強の早期リタイア術』の中で詳しく方法を紹介しています。
投資資産の4%を毎年定額で取り崩していっても資産を減らさずに一生を終えられそうな感覚は得られました。
しかし、トリニティスタディはアメリカでの事例ですし日本に暮らす者としては下記が気にかかります。
- ドル建ての株式(米国株など)を持つと、ドル円の為替リスクが発生する
- 4%で取り崩した金額の内、含み益の2割が税金で減る
トリニティスタディの自身への適合性をこれ以上考えてもあまり得るものは無いので、自身の積み立てている投資資産は具体的に何%取り崩せるのかを考察します。
具体的な期待リターンを考察
私の買い増している株式について計算をしていきますが、その考え方はどの株式に対しても当てはまるものかと思います。
具体的なアセットアロケーション
トリニティスタディのアセットアロケーションは株式50%,債権50%となっていますが、私はリスク資産に全資産投入は怖くてできません。
リスク資産は総資産の60%までと本記事執筆時点では定めています。
私が目標とするアセットアロケーションは株式60%,現金40%としています。
世界経済の発展はアメリカの成長に依存しているためアメリカ株式のみ買っても良いのですが、アメリカ1強が自身の死ぬまで続くかは分からないため広く他の国へも投資しています。
ただ加重平均のため全世界株式の内訳はほぼアメリカ企業になっており、現状はアメリカ株式を買っているのとほぼ差はないです。
具体的な投資対象
株式は個社のものではなく、インデックスファンドを買っています。
具体的には「MSCIコクサイ」に連動するものです。
私はTOPIX連動のインデックスファンドも別で買っているため、日本株式を除いたMSCIコクサイを買っています。
しかし「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」1つに絞っても良いかと考えており、大差はないので好みの問題です。
仮にアメリカだけに絞るのであれば「S&P500」に連動するものを選びます。
インデックス(指標)の過去の値動き
過去の株価の上昇が未来に続く保証はないですが、それでも今後の経済の成長を信じる限り参考になる重要数値と考えています。
それでは「MSCIコクサイ」の過去の値動きを見ていきます。
数値は「myINDEX」様から引用させていただきました。
※円建ての金額のため、ドル円の為替リスクは吸収されています
MSCIコクサイの値動きは上の図の青いグラフのようになっています。
短期的な価格の上下はありますが20年で見ると右肩上がりに増えています。
単年でのリターンは上の図のようになっています。
株式だけあってプラスとマイナスと振れ幅がなかなか大きいです。
特に2008年のリーマンショックのときの下げ幅は突出しています。
数年間でリターンを平均した数字は上の図となります。
コロナショック後に株価が高騰していたときは45.9%と異様に高い数値となっていました。
直近10年でも14.5%となっており、近年は株価が高値傾向にあると想定されます。
20~30年のスパンで見ると、期待リターンは8%ほどとなると考えられそうです。
(過去の傾向が未来も続くという前提の元)
使えるのは所有株式金額の何%なのか
MSCIコクサイの期待リターンは過去データでは8%ほどでした。
株価暴落期には生活防衛資金で過ごし、株価のリターンが8%を超えたときには現金比率を高め株価が落ちた時に買い戻すという調整を行っていけば、年平均で8%を取り崩していっても資産額を維持できると想定されます。
取り崩すとき、含み益に対して税金が2割引かれます。
仮に含み益が100%になっていたとすると、取り崩した金額の半分に対して2割の税金がかかることになります。
8万円とり崩したとすると、半分の4万円に対して2割=0.8万円の税金が引かれ、使えるのは7.2万円です。
つまり含み益が100%の場合は、8%取り崩して税引き後7.2%が手元に残って使えるということです。
含み益の%により引かれれる税金の割合は変わり、例えば下記のようになります。
- 含み益8%のときは、取り崩し額の1.5%
- 含み益70%のときは、取り崩し額の8.2%
- 含み益100%のときは、取り崩し額の10%
↓さらに詳しい計算は以下の記事にて行っています。
含み益が100%となるのはかなり好景気なタイミングで、実際には含み益がこれより少ないタイミングが多く税金もその分少なくなると想定されます。
8%取り崩して7.2%使えるというのは厳しめに見積もった値なので、使えるのは所有株式金額の7.2%と考えて支障はなさそうです。
※将来日本でもインフレが本格化すると、将来7.2万円使えるといっても買える現在の5万円分の商品なんてことも起こりえますが、一旦無視します。
まとめ:FIREの4%ルールを日本で暮らす場合に当てはめ考察
4%ルールはアメリカで株式50%,債権50%の資産を持っている前提で計算されたものです。
日本に暮らす場合は前提が異なるため、下記が気にかかっていました。
- ドル建ての株式(米国株など)を持つと、ドル円の為替リスクが発生する
- 4%で取り崩した金額の内、含み益の2割が税金で減る
これに対し、私は株式と現金で資産のバランスをとっているため、所有株式金額の何%が使えるのかを過去データから算出しました。
- 円建てのインデックス(MSCIコクサイ)で見て、平均リターンは8%程度
- 税金は厳しめに差し引いても、取り崩し8%に対して7.2%は手元に残る
日本でインフレが本格化することや、想定していなかった事態に見舞われたとしても、4%であればかなり安全サイドに倒した数値と思えます。
ざっくりした結論としては、日本でも4%ルールは成り立つと言えます。
正確にまとめると、日本では所有株式金額の4%~7.2%を生活費に使っても資産を減らすことなく生きていけるだろうという結論に至りました。
私は慎重派のため4%を前提として必要な金額を目標額に設定して、2023年3月にFIREしました。
過剰に資産を貯めすぎた=嫌な仕事を無駄に長く続けてしまったと思わなくもないです。
もし現状の知識と経験でFIRE目標額を設定するのであれば、目標額をもう少し減らして早めにFIREしていたかもしれません。
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