橘玲氏が『働き方2.0vs4.0』の中でFIREに関して
というようなことを書かれていて、その通りだなと思っています。
老後2,000万円足りない問題のように、(金額はさておき)金融資産を貯めていなければ定年後も働き続けないと生きていけません。
蓄えられた資産額によって、引退の時期が60代になるのか、もっと早くできるのかの違いです。
好きな仕事なら働き続ければ良いわけですが、死ぬ直前まで働ける可能性は低いです。
FIREのFI(経済的自立)は誰にとっても必要となる社会情勢になっているんだなと思います。
本書でサラリーマンが嫌だと思っていることが3点あがっていたのですが、その中の1つ「自分の能力を超える仕事の責任を負わされること」にはグサリときました。
嗚呼、私はこれが辛かったんだなと。
豊かになったのに増える現代人の不満
生活は豊かになり、高度な技術が普及したのに
- 不安に取りつかれ
- ふさぎ込みがちで
- 人目を気にし
- 人間不信にかられ
- 消費に協奔しながら
- 近所づきあいはないも同然
となってしまっているのは何故なのでしょうか。
これはアメリカの経済学者が言っていてことで、日本だけではなく先進国全般にこのような傾向が見られます。
格差の拡大がある国ほど、他人への信頼感が低く、現代病も多いというデータが載っていました。
日本は他国と比べると、まだ格差も病気も少ないです。
今の日本が良いとは感じていませんが、日本の経済は欧米の1周遅れで進行しているため、この先状況がさらに酷くなることが想定されます。
サラリーマンが嫌な理由3つ
著者はサラリーマンが嫌だと思っていることを3点あげています
- 何の意味があるのか分からない仕事(ブルシットジョブ)
- 人間関係
- 自分の能力を超える仕事の責任を負わされること
①何の意味があるのか分からない仕事(ブルシット・ジョブ)
ブルシット・ジョブに関しては以下の本を読んで、とても納得しました。
組織の中では、実際の活動より活動を証明するペーパーワークの方が重要とみなされるようになっています。
人の役に立ったと実感できるエッセンシャル・ワークは給与が低いのです。
OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)なんかは、面白いプログラミングは無償でもやりたいという気持ちが具現化した事例と捉えられます。
②人間関係
日々、初対面の人と会うのは人体にとってはそもそも異常事態で多大なストレスを与えています。
人類の体は旧石器時代からほぼ変化していないため、知らない人とは遭遇しないことが日常であり、初対面の人は敵かもしれないので自動的に警戒します。
都会暮らしで毎日毎日警戒が働けばそれだけで精神は摩耗します。
さらにサラリーマンの場合は、関わる人を選択することができないため、ダメージは甚大です。
↓『嫌われる勇気』では、現代における不安の原因は対人関係に集約されると書かれています。
③自分の能力を超える仕事の責任を負わされること
これは私の実体験と非常に合致します。
ゼネラリストして過ごしてきてしまったので、よく分からない担当を持たされて自分の手を動かす時間も取れず、責任は負わなくてはならないというのが非常なストレスでした。
この状態を10年以上続けていて、そろそろ病気になりそうな気配がしていました。
そこそこの給料をいただいてもワリに合わないぞということで、FIREしました。
(参考)他の書籍に書かれている理由
ちなみに『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』では、会社を嫌いになる理由が下記と解説されています。
- 日本の多くの会社は社員を我慢させる仕組みを取り入れているから
- 「やりたい」「やれる」「やるべき」の1つでも欠けると楽しくない
FIREについて
著者がFIREについて、以下のように解釈していました。
日々のお金を心配することなく、会社や組織から自由になって好きな仕事をする
昔のリタイアは遊んで暮らすのを目的にしていたけれど、傾向が変わっているようだと言っています。
私もFIREしたのは遊びたいという目的ではなく、健康のために嫌な仕事を辞めたいというものなので、考え方は近しいです。
好きな仕事に出会う前に働かなくても生きていけるだけの金融資産が貯まったので早期退職しましたが、楽しいものが見つかれば再び働けば良いと思っています。
また著者は以下のようにも書いています。
人生100年時代では誰もがフリーエージェント時代を経験する。
それが定年後なのか、FIREして時期を早めるかだけの違い。
老後2,000万円足りない問題のように、金融資産を貯めていなければ定年後も働き続けないと生きていけません。
そうして必要な金融資産の額が定まれば、貯まった段階で会社を辞める、ただそれだけのこと何ですよね。
(若くリタイアするための額は増えますけど)
サラリーマンを定年まで続ければ老後安泰という時代は終了してしまったので、遅かれ早かれFIREのFI(経済的自由)について考えないといけない社会になってしまいました。
人生100年時代における変化
『LIFE SHIFT』では、人生の流れが
20代でスキル習得 ⇒ 50代までそのスキルで働く ⇒ 60歳以降引退生活
というものから
20代でスキル習得 ⇒ 30代はそのスキルで働く ⇒ 新たなスキル習得 ⇒それで働く ⇒スキル習得&それで働くを何度も繰り返す ⇒ 60歳以降も働く
というものへ変化してきていると書かれています。
死ぬまで働き続けることから脱するためには、年金だけに頼らず自力でFIREする必要が出てきそうです。
(おまけ)橘玲氏の他の書籍
橘玲氏の本は他にも読んでいて、興味深い内容のものが多いのでご紹介です。
過去に出した本の内容をアップデートして載せていて重複もあるので、初めて橘玲氏の本を読むなら最新作から読むのが良さそうです。
↓2023年3月出版の書籍
↓科学で分かってきたけれど、世間でタブー視されていることに切り込んでいて面白いです。
↓読みたい本が増えすぎたときに、このジャンルは不要と切り捨てさせてくれます。
↓脳の仕組みや心理学といった、科学寄りの書籍
まとめ:60歳までに老後資金を貯めることも、ある意味FIRE
定年までサラリーマンを続けても年金だけでは生活できない社会情勢となっているので、FIREのFIを考えるのは誰しも必須となりました。
それならばFIを達成した時点で、仕事の選択は収入ではなく好き嫌いで判別すれば良いじゃないというFIREの流れは自然と出てくるものだと本書を読んで感じました。
定年までに老後資金を貯めることは、定年後に嫌な仕事を続けることを避けるための、ある意味早期退職=FIREなのだと思います。
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