年金の未納は圧倒的に不利になるためお勧めしませんが、収入が少ない場合には「免除」の制度を利用することができます。
私はFIREしたのですが、FIREした人は収入(給与、事業所得)が0もしくは少額となるため年金免除の選択肢が出現します。
年金は受給開始したら死ぬまでもらえる制度ですが、支払った金額に対して損益分岐がどうなっているかを計算しました。
単純計算だと受給開始から20年で元が取れます。
65歳受給開始だと84歳以降です。
但し、免除した金額を運用すると損益分岐の年齢は大きく変わってきて100歳付近になる場合もあります。
その辺りをグラフ化していますので、ご活用いただければ幸いです。
年金は長生きに対しての保険
年金は長生きに対しての保険なので、何歳まで生きると金銭的に得なのかと考えるのは適さない面があります。
ただ保険商品だからこそ掛け金はいくらが適切なのか検討する余地はあると考えます。
普通にサラリーマンやってたら年金は全額収めるしかやりようはなかった分けですが、FIRE後に免除した方が良いかどうかの判断材料を作りました。
昔は、年金維持できるのかと漠然とした不安を抱いていましたが『人生100年時代の年金戦略』を読んで解消しました。
仮に年金の原資が足りなくなっても、国は税金を追加投入してでも制度を維持するメリットがある。
なぜなら年金が無くなって破綻した人を生活保護で支える方が損だから、という説明に合点がいきました。
リンク
年金の仕組み
まずは年金額の制度について厚生労働省のサイトを見てみましょう。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_003.html
さっぱり分からない。実に面白い。
年金納付免除の条件を芸術的に1つの式に盛り込んだ結果、内容がよく分かりません。
シンプルに全額納付したらどうなるかを考えてみましょう。
40年間年金を全額収めると、65歳以上でもらえる年金額は年間777,800円*1となります。
1年間年金を収めるごとに、将来もらえる年金額が約2万円(19,445円)ずつ積み増されていきます。
免除するともらえる年金はいくら減るか
年金を全額免除する期間が1年増えるごとに将来もらえる年金額が約2万円減るのかというと、そうではありません。
国民年金の半額は国が(税金などを使って)払っているため、減る金額は約1万円(9,723円)になります。
未納せずに40年間年金を納付する場合は以下の式になります。
掛け算を計算して金額を出しておくと下記。
元を取れる年齢
年金納付は年間で約20万円(198,240円)*2なので、将来もらえる年金額が約1万円増えて元をとるには約20年間かかります。
免除する年数が1年間だろうが20年間だろうが関係なく、元が取れるのは年金受給開始から20年後という制度になっています。
2023年時点では年金は65歳からもらえることになっているので、20年後の84歳の受給から元がとれることになります。
但しこれは浮いたお金を0金利で放置したときの損益分岐年齢なので、運用したらどうなるかも合わせて見ていきます。
35歳FIREの場合
浮いたお金を株式で運用すれば平均5~8%のリターンが期待できると想定していますが、今回はより安全に見積もって4%のリターンとします。
35歳にFIREしたとして、
- 年金を全額収めた場合
- 収めず現金で持っていた場合
- 収めず4%で運用した場合
をグラフにすると以下です。
35歳から59歳まで*3の25年間を全額免除すると約500万円の現金が浮きます。
(年間198,240円×25年間=4,956,000円)
その金額の元をとるのは、青線と黄線が重なる84歳(+数か月)の時点です。
(※前述で元が取れるのは受給開始から約20年後と算出していた通り)
赤線は4%で運用して場合の金額の変遷です。
59歳までは浮く年間約20万円をドルコスト平均法で投入していった前提としています。
65歳まで4%複利で運用し、約1,000万円(10,087,107円)に至っています。
この場合、年金受給で元が取れるのは(赤線と黄線が交わる)105歳(+数か月)の時点になります。
現金放置していた場合と比べると、めちゃくちゃ長生きしないと損益分岐点にたどり着かなくなりました。
25年間に及ぶ複利の力に感服です。
45歳FIREの場合
35歳FIREは若すぎないか?ということで45歳の場合も同様にグラフ化しました。
45歳から59歳まで*4全額免除すると約300万円の現金が浮きます。
(年間198,240円×15年間=2,986,200円)
その金額の元をとるのは何歳FIREでも同じで、84歳(+数か月)の時点です。
4%で運用した赤線も見ていきましょう。
(※59歳までは浮く年間約20万円をドルコスト平均法で投入していった前提は35歳FIREの場合と同様)
65歳で約500万円(4,849,938円)に至っています。
この場合、年金受給で元が取れるのは(赤線と黄線が交わる)97歳(+数か月)の時点になります。
105歳と比べると若くなりましたが、現在の平均寿命より長いですね。
年金受給開始が70歳からに延伸された場合
年金の受給開始は60歳から65歳に延伸された経緯があるため、今後さらに延伸される可能性があります。
70歳に延伸された場合もグラフ化してみると以下です。
黄線の始点が65歳から70歳へ右にスライドしました。
4%の運用期間も、65歳から70まで延伸しています。
現金放置との損益分岐は、受給開始70歳の20年後となる89歳に変わりました。
4%運用との損益分岐は110歳です。
未来の日本人の平均寿命は110歳を超えるでしょうか、はてさて
(参考)私の選択
最後に参考までに私の場合を載せておきます。
ここまで損益分岐年齢を計算しておきながら、ちょっと身もふたもない内容です。
FIRE達成するまでに結構な金額の厚生年金を収めてきたため、現時点でもらえることの確定している年金額で十分だと思っています。
将来使いきれないお金を将来に回してもしょうもないので、年金は全額免除します。
もし確定年金額がまだ足りていなかったとしたら、悩むところですが、それでも全額免除にして自分で運用すると思います。
年金「未納」は圧倒的に不利なので、免除申請して通った結果に従うのは大前提です。
もし将来収入が増えて免除ができなくなったら、選択の余地が消えて年金フル納付していくことになります。
まとめ:国民年金の免除による損益分岐年齢
免除したお金を運用しない場合、元が取れるのは年金受給開始から20年後でした。
受給開始が65歳からだと84歳以降ですし、75歳からだと89歳以降です。
免除したお金を運用する場合は、少し複雑です。
35歳から25年間全額免除すると、元が取れるのは105歳以降。
45歳から15年間全額免除すると、元が取れるのは97歳以降となります。
年金「未納」は避けるべきで普通のサラリーマンには全額納付の選択肢しかなかった分けですが、収入が減った際には「免除」するかを検討してみる価値があると思います。
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